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くりころdays

はじめました

デストロイ!!~今、君に会いにゆく~


思いがけず始まった放浪の旅も一ヶ月、特に関東へ来てから不具合が続いている。



オーブンレンジの沈黙に始まり、プロジェクター、お風呂の電気、トイレ詰まりにしゃもじの失踪。

電車に乗ろうとすれば駅の券売機が詰まり、ラムピリカは強風で停電。
熱海へ行ったお隣さんは電車が止まり帰宅できず。


千秋さんの大切な傘をお母様に貸したところ、やっぱりというか盗まれる(予感はあった)。



次々と起こるシステムエラー、その中でもとびきりは、千秋さんが救急車に乗った日のこと。






「くりちゃん、今日は何か予定は入ってますか?」


北海道の病院で打撲の診断を受けるも、強打したお尻の痛みで歩くことも難しくなっていた千秋さん。
空港からそのまま熱海療養へ旅立ち3日目の朝、湘南の電話が鳴った。


「痛みが強くなってしまって、民間の搬送サービスで病院へ行こうと思います。動けないので、手続きなどお願いしたいのですが来ていただけますか…?」


「もちろんです!!!!」


前のめりに、寝起きの布団でわくわくと返事をした全く予定のない私。
不謹慎かもしれないけれど、頼って貰えた喜びで私の心は溢れる。


出会ってちょうど1週間。

共に行動する時間が短くてちょっと寂しかったところ。


着の身着のままレッツゴー!!




あまりの非日常にふわふわと浮き足立った気持ちで藤沢駅に到着すると、改札の前に人だかりができていた。


「何かあったんですか?」


近くにいたPOLICE制服に話しかけると、こんな返答が。


「送電線に火花が散っていると通報があって、今は点検中で電車が運休しています」



マジか。



駅員さんを捕まえるも、熱海行きはいつ来るか分からない、他の行き方を聞いても待つしかないと言われ、登場するのはスマートフォン
教えてGoogle先生!


訊ねてみたところ、小田原までたどり着ければそこから新幹線に乗れる、と。



……新幹線!!!?


(乗りたい!!)



この間、ずっとメッセージをやり取りし見守っていた千秋さん。

「乗ってください!新幹線代はもちますので!!」



今、君に会いにゆく!!!!





小田原行きの臨時電車に押し乗り、初めて見る新幹線はめちゃんこ速かった。

しかし千秋さんから、迎えに来てくれた民間の搬送サービスでは地形的に危なく運べなかったこと、痛みがさらに激しくなったため救急車を呼びました、と連絡が入る。



火花!!この状況も火花!!!



「救急車で一緒に移動できたら心強いです」

この言葉に俄然やる気になり、ダッシュで熱海のお家へと向かう。




寝起きの電話から3時間、最寄りのバス停に到着すると赤いランプがクルクルしていた。

まだかなまだかなと待っていると、坂の向こうから丁重に運び出されてくる千秋さん。
痛みで目も開けられないところをぴょこぴょこ手を振りにっこり笑顔で迎える私。



やっと会えたね、お姫様!!!



そして、テキパキ働く救急隊員の方達に最敬礼。
助け出してくれて、本当にありがとうございます!!



今一度、「北海道のちょっとした公園にある氷の滑り台でおしり滑りをしたんですね?」と確認をされ、痛みと感激で呻きながら涙を流す怪我人の隣で、なるべく真面目な顔で頷いて近くの病院まで走り抜けた。


(朝そこら辺の服を引っ掴んで飛んできた私、自作の文字Tシャツにはでかでかと「デンジャラスガール」。少し気まずかった。)





検査の結果、仙骨が折れてるっぽい!これは相当痛い!ということでそのまましばし病院にお泊まりコース。


のちに仙腸関節を痛めているということが判明したのだけど、普段あんまり大きく動かしちゃいけない部位にも関わらず、北海道旅行の前から千秋さんはフィギュアスケートのポーズ(?)を真似したかったらしく無理に脚を開く練習を毎日していたとのこと。

「多分、ちょっと痛めてたところに強い衝撃が加わって大変なことになったのでは」と言う彼女。



この人、まじでやばいなと思う。




安心してぽろぽろする千秋さんの涙を拭いてから、たまたま救急車も入院も暗黒ブラックホール時代に経験済みだった私、揃えるものはバッチリ分かるよ!!
ということで、ひとりルンルンお買い物をしたりお世話役を堪能した。

(この先入院する人へのアドバイスは、なるべく可愛いお気に入りのグッズを買い揃えること!
普段から使っているものは避けた方が、退院後の自宅で消毒液臭さを思い出さずに済むと思われる。)





夕方、千秋さんのお母様が千葉からお見えになって、おいしいパンをいただきつつ3人でお話会をした。

今までどこか骨折したことある?なんて、夏はギプスにハエが寄ってきて大変だよってお話。


痛みがありつつもみんな笑顔で、お母様の運転でみーすーの待つ湘南へと向かう時には、すっかり私ってあなたの孫かも!という気持ちでいた。



家族って、他人ってなんだろうな。




そしてこの日、私は千秋さんの大切なネックレスを預かったままなくした。









毎日色んなところで色んなことが起きるのだなぁと、当たり前ながら改めて感じる。

図々しいほど他人事のように、人生って、人間の力ってすごいなぁと思う。



その後も、出会ったその日にお家に泊めてくれた友人が犯罪に巻き込まれたり(犯人には大声で最悪野郎と叫びたい。早く捕まれ!!)、千秋お母様とラムピリカで愛の怒り爆発!そして全力ハグ!だったり。
何故かお世話になっている人達からお小遣いやiPadをいただいたり。

出来事の振り幅が大きくて全然ついていけない。




大好き!!と何これ!!のオンパレード。




超絶マヌケな千秋さんも、ゲームとYouTubeに夢中なみー&すーも(一日中、3DSから「みさえ~」「こら!!しんのすけー!!」が聞こえてくる)、この人達は絶対大丈夫だなと感じる。



めちゃくちゃはちゃめちゃな事態を前にして、目に見えないけれど、全ての人は生きる力に溢れていると思った。

そんなものどこにも無い、自分には何の力もないと絶望する時もあるけれど。

いつでも何があっても、 地下に眠る源泉のように、 からだの奥底からそれは惜しみなく湧き出ているものなのだと思う。



みんな、ちょう生きてるなぁ!!!!




そして、お腹にすとんと落ちてきた

「もう、諦めよう」

という言葉。



何が正しいかなんて、間違ってるなんて、考えるだけ無駄だ。





人生って、やばい。





地球に飛び出して25年、ようやく腹を括った。



突っ走れ、デンジャラス!!



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