家出卒業ーラムピリカ編終了ー
ピカピカに晴れた日の朝、ラムピリカのお家を出た。
これまで何度か家出を繰り返してきたけれど、今回はなんか違うな、ついに巣立ちのときと感じる。
(繰り返し言うけれど、2ヵ月前に転がり込んだだけの居候です)
旅立つ前日、いつの間にか増殖した荷物をどうまとめようか頭を抱えていたとき、千秋さんがアドバイスをくれた。
「地球上だから、どこへ行っても大丈夫だよ」
安心して冬のコートを脱ぎ捨て、流れ流れた現在は新潟でベンツのオープンカーに乗せてもらい風を感じている。
最初の家出はみー&すーと暮らし始めて2週間経った頃だった。
元々アクティブひきこもりの私、せっかくの湘南!江ノ島の海!でも家から一歩も出ずに布団も敷っぱなし、だらだらしまくるという活動を精力的に満喫していた(お風呂に入るのもめんどくさいミノムシ)。
そのとき子ども達はというと、漫画にゲームにYouTube、その合間につまむお菓子づくりという充実っぷり。
夜中に3人で相撲をとって「今日は運動したねぇ」と話しながら、あることに気づく。
この子達、ぐーたらスキルめちゃくちゃ高くね??
一応、小学生を預かっている身であるプロのぐーたらー、部屋の惨状に若干ビビる。
これは、誰かお家に遊びに来てくれたらみんなしゃっきりしていいんじゃないか…??
重い腰を上げ、数日ぶりに家を出て100均でお買い物。
「みんな、トランプ買ってきたよー!!」
新しい風を吹き込むべく、入院中の千秋さんにラムピリカイベントを提案する私。
しかしいかんせんズボラから始まった企画、神経衰弱やってるうちにあっという間に数日が過ぎる(すーちゃんの強さがハンパない)。
結局ぐだぐだのまま、子どもたちのやる気を削ぐわ、仕切り直す元気もないわで企画は頓挫し、完全に保護者失格気分。
大人って、これでいいのか…。
もやもやしたまま目覚めた朝、前日のお皿を洗いながら思った「なんかこの空間、感じ悪いなぁ」。
その時、カミナリが落ちた。
しゃっきりしたかったのは、私か!!!!
いつの間に、保護者なんておこがましいものに私はなってしまったのだろうか!
ダラダラしている場合ではない、私は彼女らとバッチコイやり合うために居るのではなかったのか?
今のふ抜けた私では、到底太刀打ちなんてできない!
そして突如閃いた。
「そうだ、家出しよう!!!」
大人が家出する(しかも自分ちじゃない)、なんておバカなんだろう!
ミノムシから脱皮した私は勇気100倍、心臓と胃がどきどきキリキリわくわく。
みー&すーを起こさないように荷物をまとめ、「ちょっと家出してきます♡ふたりとも超絶ラブ♡♡」と書き置きを残して、眩しい朝日の中、家を出た。
各地へ連絡を取ると、みんなの返答が拍子抜けというか、素敵すぎて笑う。
「死ぬほどくりちゃんの好きにしてください!!」
「とっても健康的ですね!」
「マジで!超いいね!!」
なんだろう、みんなに応援されるこの感じ。
こんなにハッピーな家出ってあるのか…??
夜、おばあちゃんと孫暮らし開始のみーちゃんから電話がかかってくる。
「まだ帰らないのね、おっけー!くぅちゃんおやすみ!」
なんでみんな、こんなに家出慣れしてるの…??
家出中の出来事としては、初対面のお家でお泊まりしたり、友達の作品撮影用の小物をつくったり、服作りを頼まれたりなどなどなど。
散歩中にふと思い出し、3年ぶりの友達に連絡を取る。
「今どこにいるの?」
「代々木公園!」
「まさか、ホームレス!!?」
とっても紛らわしいハッピー放浪野郎は訪れた先で「キラキラ生きて!」とご飯や交通費のでっかいプレゼント、優しさを授かりまくる。
神奈川、静岡、千葉、東京のみなさんありがとう!
色んなことが起きすぎて、昨日が1週間前くらいの感覚で完全に時空が歪んでいると思う。
そして相変わらず行く先々でどんどんものが壊れまくり(主に電気系統)+ガサツ不注意の破壊活動(ごめんなさい)。
小学校を卒業するみーちゃんの袴姿を拝むためにラムピリカへ戻った頃、ひと月入院していた千秋さんの退院が決まった。
「くぅちゃん、ママ、おかえりー!!」
朝はすーちゃんと一緒に学校へ登校(小学校とか100年ぶりくらい)、わたし自身はリアルタイムであまり通わなかったけれどなんだか良いなぁと思う。
「卒業式、一緒に参列したらいいよ」
晴れ着を纏った凛々しいみーちゃんを送り出した朝、何とも軽やかな千秋さんの言葉。
そして、千秋さんのお母様とお父様(初対面)と4人でみーちゃんの卒業式へ参列するという全くもって意味不明な展開。
「家族の契りを交わしたね…」と言ってくれるお母様。
一方、式の中で子どもたちが語る「人々を笑顔にしたい」「人々を幸せにしたい」という『人々』という単語にツボる千秋さん。
「人々って、か、か、神様みたい…!!!」
本当に、おバカで愛しすぎる。
すーちゃん談「うちには子どもしかいないと思うよ」。
確かにでこぼこめちゃくちゃで、自分含め大人な気がしない。
じゃあ、すーちゃんが思う大人ってどんな人?
「ブッダ!」
……ブッダ!!?
「悟り開いてる!でも悟り開いてるから大人ってわけでもないと思うけど。
親がいるうちはみんな誰かの子どもだから。お母さんにはババがいるからまだ子どもだよ!」
大人への道は、まだ遠そう。
では一番大人に近いババ(千秋さんのお母様)の場合はどうだろうかというと。
「近くの公民館で子どものインターネット依存の講演あるらしいよ~行ってみたら?」
iPadがお気に入りで手放さないみーちゃんとのバトル中、放たれた12歳の変化球に
「えっ!そうなの!行ってみようかしら!!」
見事怒りが吹き飛ぶババ。
どんだけ素直でチャーミングなんだ!!
この世にはこんなに、全力チャーミングでおバカで愛しい人達がたくさんいるんだなぁとラブな実感をする毎日。
逃げも弱気も不安も凌駕する、愛の眼差しと信頼感。
サンシャイン池崎になりたい!という一人の情熱を叶えるべく、寝る間も惜しんでネタを作り撮影隊を出動、「無駄」や「くだらなさ」に命を燃やせる友人が存在する喜び。
同じフィールドで遊べる相手を見つけて超絶、幸せを感じるわたし。
あまりの出来事の連続に思考は飛躍、人間に対する愛しさが爆発中。
次はどこへ流れるだろう?
分からなさすぎて、なまら面白い。